インタビュー
これまでにインタビューさせていただい方々
- 久保
- 庭崎さんとお会いしたのは3年前。庭崎さんがセイコー株式会社のクレドール部で商品企画の課長さんをされていた時に「商品開発に関して、何でも好きなことをいってください」と、声をかけてくださって。
- 庭崎
- 私が『AQUA』という時計のブランドの立ち上げに携わっていた時です。
- 久保
- それから何度もお仕事でお会いして、私は庭崎さんのイキイキとした魅力に取り付かれてしまったんです(笑)。
- 庭崎
- 逆です(笑)。私が久保さんのニュートラルな魅力に取り付かれました。
- 久保
- 「あ、この人がこの会社を変えていくんだな」と思いました。そんなワクワク感があったの、庭崎さんには。でも、男社会の中でやっていくとなれば、のしかかってくるものもあるでしょう。
- 庭崎
- そうですね、多少は(笑)。でも私、セイコーという会社にとても感謝しているんです。最初はセイコージュエリーの方に配属されたのですが、自由で「楽しんでいいよ」という雰囲気だったんですね。よく「おっとりセイコー」といわれますがホントにいい人が多くて、のほほんと働かせていただきました。それが30代後半に入ってウォッチの方へ異動したら、男社会でびっくり。会社としては時計が本業ですから、厳しい側面もあるわけです。でも、その中で今までどおりにやってみたらどうなるかなと、好きにやっているところもあります。それができるのは楽しむことを止めない会社の体質にあると思うんですけどね。
- 久保
- あまり楽しそうで誰にも止められなかったのかもね(笑)。ウォッチに移ったときの使命は何だったの?
- 庭崎
- 女性向けの商品や、女性の感性を強化する・・・といったことでした。もともと、とても男っぽい会社ですが、今は女性が活躍する場を作ろうという“会社としての意志”がかなりあるんです。それで久保さんにも「うちの商品についてどう思うか、率直な感想を聞かせてください!」と、お願いしました。
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- 久保
- そこで私も冷や汗をかきつつ「真面目すぎる、おとなしすぎる」と、嫌われる覚悟で言わせていただきました。
- 庭崎
- 外から「ダメだよ」と言っていただくと、全然、社内の受け取り方も違うんです。久保さんは普通の目線で、色をつけずに言ってくださるからありがたいです。
- 久保
- 女性の働く場、発言の場が御社のような歴史のある企業の中にできてきているのは、すごくうれしい。同じ女性として。自分だけが突出するのではなく、ちゃんと自分のいる企業を守って、還元していく庭崎さんも素敵。
- 庭崎
- 結構、ドジなんですよ。失敗もします。
- 久保
- それもまたかわいがられるポイント。いわゆる昔、よく言われたキャリアウーマンとは別の意味合いの賢さを感じますね。会社を引っ張って行っちゃう勢いがありながら、厄介な人たちを「まあまあ」となだめるところもあって。
- 庭崎
- とげとげするのは嫌ですものね。私、すごく肩肘張ってというタイプではないです。「結構、直球だね。変化球も投げたほうがいいよ」とよく言われますが、セイコーという会社は直球で投げた“気持ち”が人に伝わると、みんなが動いてくれるんです。管理職のオジサマばかりの中に私が一人、ポツンと入っても、みんながそれを受け入れてくれる度量がある。だから、ますますファイティングポーズはとりたくないんです。
- 久保
- ここまで会社で頑張れた秘訣は?
- 庭崎
- 楽しかったからですね。自分でやりたいことを考えて組み立てていって、周りの人に「やってみなよ」とちょっと肩を押されて動き始める。そういうのが積み重なっていくと、できるという実感も湧いてくるし、いろんな縁が広がって楽しくなる。だからかな。後輩にも「どうせ仕事をするなら面白くやろうよ」って話してます。よく言われるんです、後輩に。「庭崎さんは楽しそうですね」って。
- 久保
- それにどう答えるの?
- 庭崎
- 「ツラ楽しい」かな。痛気持ちいいみたいな感じ(笑)。
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- 久保
- 現在は新しくできた『レディースマーケティング企画部』の課長さん……(と、手元の資料を見る)。今はどんなものが動き出しているんですか?
- 庭崎
- 今、一番やりたいと思っているのは、セイコーのレディースジャンルの中に、フラッグシップになるようなすごく強いブランドを作りたいんです。ルキアのような皆さんに愛される大きなブランドはすでにありますが、小さくてもいいから一部の人が「ぐぐっと気持ちを揺さぶられる」ようなものを作りたい。
- 久保
- それは絶対、実現して欲しいです。まさに私が数年前、皆さんを前にお話したことはそこだ!「セイコーは本当に確かなものを作っているのに、製品が“眠たい”と」。
- 庭崎
- そうなんです。だからまた京子さん、力を貸してください。でも、いきなり海外ブランドの時計のようになってしまうのはイヤで、あくまでセイコーらしいものを作りたい。このプロジェクト、すごく楽しいですけど、その道のりはもう……。
- 久保
- 険しい?
- 庭崎
- ええ。本当に高い山がそびえ立っていて、どうやって迂回しようかと、そればかり考えてます(笑)。
- 久保
- 通っていく道には時計の作り手の人達もいて……。
- 庭崎
- そう、そう(笑)。作り手の人達の話、面白いんですよ。
- 久保
- 庭崎さんはそういう職人さんたちの話も面白がってきちんと聞けて、「売れる商品を」という会社の思惑も反映できて、なおかつそれに縛られないでやっていくことができるでしょう。それがすごいし、面白いと思う。
- 庭崎
- モノって、思いがこもると思うんです。作り手だったり、売り手だったり、買う人の思いだったり。そういう気持ちみたいなものが絶対あるから、その部分で人とつながれると急にうれしくなって、頑張れるんです。……なんて、カッコいいこと言ってますけど私、失敗は山のようだし、失くし物は多いし、机は汚いし、「あ、言っちゃった!」と後悔することも多いし……。
- 久保
- 後ろから誰かが火を消して歩いてたり? でも、私は期待してますよ! この連載をやっていていつも思うんだけど、何かを先頭に立ってやっていく人はみんなワガママ。でも、自分が旗を立てて、次の人たちにパスしようという気持ちがすごく強いの。
- 庭崎
- それは思います。自分のところで止めたくない。パスしたいですね。
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- 久保
- その辺は私と庭崎さんは共通点かな。
- 庭崎
- 楽しくゆったり、美味しいものをいただくのが好きなところも(笑)。
- 久保
- そこは大好き。美味しいものを美味しく食べられる人と食べたい。庭崎さんは誰とでも食事をなさる方? 私には気まずい相手と食べても「おいしい食事」にしちゃう人のように見えるな。
- 庭崎
- どうでしょうね(笑)。
- 久保
- どうでしょうね(笑)。
久保 相手の肩書きや職業、年齢、性別に関わらず「ちょっと会ってみたいな、話を聞きたいな」と思うと、「ご飯食べましょう」と言ってしまうタイプでしょう。
- 庭崎
- そうなんです。ずうずうしいのかな。
- 久保
- 「庭崎さんだったらいいよ」と、思われるんじゃない?
- 庭崎
- おかげさまで。皆さんに助けていただいて、教えていただいて、本当にありがたいんです。去年もスイスに出張したときに、到着した早々、お財布もパスポートも手帳も全部入ったハンドバッグを盗まれちゃって。5分間だけめちゃめちゃ落ち込みましたが、SEIKOの皆が助けてくれて、1円も使わずに帰ってこられました。
- 久保
- 生きていけるわね、どこでも。自分に対する信頼感があるんでしょうね。
- 庭崎
- 「災い転じて福となしますよ」とはよく言ってます(笑)。
- 久保
- そうそう、旅好きも共通点ですね。
- 庭崎
- そうですね。今年はいろいろ行きました。北米、カリブ、アジア、ヨーロッパ……。今年一年でいろんな文化圏を見ちゃったな。夏はイタリアに行こうと思ってます。
- 久保
- フットワークが軽い!
- 庭崎
- 母が私の10倍社交的で、5倍フットワークが軽い人なので、好奇心旺盛で発見が大好きで、旅行も好き、人も好き、というところは受け継いじゃってますね。
- 久保
- シンガポール航空のトイレにパスポートを落としたんですって?
- 庭崎
- そうなんですよ。もう、そんなのばっかりです(笑)。
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