インタビュー
これまでにインタビューさせていただい方々
- 久保
- 五明ちゃんはモデルを始めて何年目?
- 五明
- 18歳からだから……14年? 小さい頃から雑誌や洋服が好きだったし、背が大きいこともコンプレックスだったから、中学時代からモデルになりたいと思ってたの。でも事務所に所属してからもしばらくは売れなくてね。まったく自分には合わないテイストのお仕事をしてました。
- 久保
- それが『non-no』モデルになって売れっ子になり、テレビのCMにもすごくたくさん出るようになったじゃない。
- 五明
- CMは突然、決まりだした年があるんですよ。2000年かな? それまではオーディションも落ちてばかりだったのに。
- 久保
- 何が変わったの?
- 五明
- 「自分でキャラクターを決めていかないとダメだ」って気づいたの。CMのオーディションって、役者系の人を呼ぶ場合と、モデルを呼ぶ場合の2パターンあるんだけど、先方が“きれいな女の人”を求めているときには、私、受からないんですよ。
- 久保
- いわゆる“きれいな人”の枠からはみ出るほどの個性があるけど、役者では物足りない……つまり、中途半端!?
- 五明
- そう! 中途半端なの。モデルが起用される「きれいな人がスーツを着ている」というような設定には、どうも私は当てはまらなかったのね。それに気がついて「プラスアルファで、面白い演技ができるようにしよう」と思いだしたら、途端にCMがバンバン決まるようになったの。
- 久保
- 自分で引き出しを増やしたのね。
- 五明
- そう。オーディションの前に監督さんと話をして、求められている人物像を自分なりに掘り下げるようにしたんです。いま思えば、あれが転換期でした。
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- 五明
- でも「雑誌や紙媒体の仕事が好き」というスタンスはいまも変わらないんですよ。
- 久保
- 雑誌の仕事は一瞬を切り取られるから、おちおちしていられないけど、そこが面白くもあるのよね。ライティングにカメラマンとの息の合わせ方、編集者の意図していること、すべて理解した上で、計算しつくしてポーズをとる。あの緊張感はファッション誌の独特のもので、気持ちいいのよね。
- 五明
- やめられないですよね! 集合写真のときもモデル1人、1人が職人だから、ぴたっと全員のポーズが合う。あの瞬間はすごい。
- 久保
- そうそう! だけど、どんな状況も要求も汲み取れるプロになりすぎると、逆に面白くなくなるときもあるわね。
- 五明
- ポーズがパターン化しちゃってね。
- 久保
- さっき、私にカメラを向けられて、照れて困った表情をしているあなたを見ていて思ったんだけど、プロとして息が長い人ほど次々に新しい部分が出てくるのね。「五明ちゃんらしいね」といわれる部分をある時、ひっこめて、常に新鮮な何かを注入してる。いつも“初心者”の部分があるの。
- 五明
- それは大事だと思ってます。緊張感とか、恥ずかしいと思う気持ちを忘れてはダメ。
- 久保
- そのぐらい真剣勝負よね。ずっと第一線でいられるモデルは、いつもどこかに「いままでのイメージを覆そう」と企ててる部分があると思います。五明ちゃんも企ててる?
- 五明
- うん、企ててる(笑)。
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- 五明
- でも、私、non-noのモデルをやめた後、どの雑誌もしっくりこなくて宙ぶらりんだった時期があるんです。
- 久保
- この雑誌は年齢的に下過ぎるし、こっちだとお姉さん過ぎるとか?
- 五明
- そう。キャラに合うものがなくて。
- 久保
- 中途半端な時期ってあるね。ただ、その問題は年齢が上になってくると、もっとツライんです(笑)。
- 五明
- 久保さんにもありました?
- 久保
- あった! 私は『LEE』をやらせていただいて、すごく幸せだった時期が長く続いたのだけど、ある時、隣に並ぶモデルさんと私の肌の質感が違う、と思ったの。
- 五明
- 露出の量が減ってきたんですね。誌面から知らぬ間に消えていくという……。
- 久保
- そう。かなり焦ったし、悩みました。でも、そのうち「ファッションページじゃないけれど、暮らし方のテーマに登場して発言してみませんか」とか「バッグのデザインをしてみませんか」と、新しい仕事が持ち込まれるようになったのね。それで「面白そうだからやってみよう」と誘いに乗って、だんだん、いまの仕事につながっていったのよ。
- 五明
- そこでファッションの仕事にこだわっていたら、フェイドアウトしてたかも!?
- 久保
- うん、してたかも。
- 五明
- 来た波に乗ってみるということは大切ですよね。「何だろう、いいのかなこれで」と思いながらも面白そうなら飛びついてみる。私の場合はそれがCMだったのかも。
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- 久保
- いまは何か乗りたい波はある?
- 五明
- ない(笑)。
- 久保
- 20年後はどうなっていたい?
- 五明
- どうなっていくんでしょう(笑)? 働いているとは思いますけどね。バタバタしているんじゃないかな。落ち着かずに忙しく。
- 久保
- ただ、何も無いのは嫌でしょう。大それた野望はないけれど、近い未来のために「いま、これをやろう!」という目標は常にある……と、言うか。例えば、いま五明ちゃんが習っているバレエの発表会のために、練習を頑張るとか、ね。
- 五明
- 意識していないけどそれはあるかな。
- 久保
- 「絶対これだッ! これになる」って、力むわではないんだろうけど。
- 五明
- うん、力みはないね。ただ、とにかく流れていなきゃいけない、とは思っているんです。例えば、主婦として買い物に行くときも、同じスーパーばかりではなく、いろんなスーパーに行きたいんです。毎日、いろんな景色を見て、自分に刺激を与えたいから。
- 久保
- その刺激が、見ている人に夢を感じさせるモデルの“浮遊感”につながるんだと思う。地に足がついた知性と軽さ、その両方が備わっていないといけないのよ。モデルは。
- 五明
- ……。私、このままモデルやってていいですか? 大丈夫そうですか?
- 久保
- 大丈夫です。五明ちゃんは! 素質はあります……なんてね(笑)。五明ちゃんがCMで演じていた占い師の役、今日は私がやらせていただきました。
- 五明
- 良かった。お告げをいただきました(笑)。京子さんに言われると安心します。私が「こうなりたい」と思う人だから。
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